会 長 所 信 表 明


ごみ処理
 平成19年度全国環整連は、ごみ処理部会を設置した。
経済至上主義は、結果として 建築物、乗り物、食品、医療までも多くの安心安全を人々から奪った。ごみ処理業務に対する入札行為は、何を入札しているかに問題がある。契約金のほとんどが人件費であるものを入札するということは、働く人の生活そのものを安ければ良いと言っていることになる。
何故、ごみ処理部会を作ったか。ごみ処理業務は、許可区域を明確にし、計画的に業務を行う必要がある。価格のみを競う入札は何とかしなければと思い、新たに入会した人が多かったからである。目指すものと実態の違いは厳しいものがある。
 入札行為は、マネーゲームのゆとりのない零細業者にはなじまない。入札対象になった業務を失うと会社がつぶれ、無理をして落札すれば社員の生活が危うくなる。制度そのものが、実態に即応しなくなっている。
 全国環整連は、現在かかえている問題を、現地支援を基本に着実に解決します。

浄化槽
平成18年7月に全国の市区町村長の91%が自治体の存続に不安があると共同通信社に答えた。
 地方自治体の財政には一般会計と特別会計があり、平成17年度特別会計の企業債残高は60兆円、うち下水道債残高は33兆円(54%)、企業債元利償還金は5兆7,889億円、うち下水道債元利償還金は2兆8,373億円(49%)であった。
 下水道に偏重した生活排水対策は、税金のムダ使いを生む一方で国民に大きな負担を強いている。下水道建設のために投じられた税金は、平成7年から平成16年度までの10年間で約15兆円にのぼっている。更に、下水管路の老朽化による道路陥没事故が全国で1年間に6,600箇所起きているように、今後下水管路再工事が必要になり、その額は毎年2兆円必要と見積もられる。
片や、下水道と同等の機能を有する合併浄化槽整備のために投じられた税金は、補助金制度創設以来17年間に約6,500億円であった。
管理費については、国土交通省は平成16年12月16日「下水道経営に関する留意事項について」通知を発出し、「下水道事業の管理・運営費用のすべてを回収できる水準に下水道使用料を設定」するよう下水道管理者に指導している。指導に従えば、下水道料金は1世帯当たり年間約18万円徴収しなければならないが、現状下水道料金不足額は10年間で約10兆円にもなり、差額は税金で賄われ、結果として市民負担になっている。
平成17年度末の生活排水処理人口は下水道が8,800万人(処理人口普及率:69.3%)、合併浄化槽が1,093万人(処理人口普及率:8.6%)で、その割合は8対1である。
合併浄化槽の年間管理費は一世帯6万円程度であるが、下水道料金は国交省の指導に従い下水道に接続すると、年間18万円となり12万円の値上げになる。
生活排水対策を推進する手段には、それぞれに国民の税金が投入されている。それにもかかわらず、平成3年に当時の厚生省及び建設省から発せられた通知で「下水道処理区域においては、合併浄化槽は遅滞なく下水道に接続されるものであること」とされたため、結果、税金を投入し設置した合併浄化槽を、更に税金を投じ下水道に接続することになっている。
平成3年と現在の大きな違いは平成12年の単独浄化槽新設廃止にある。 
浄化槽設置基数は、平成15年には年間約22万基と、下水道建設費換算約1兆円規模に達している。現在設置済の合併浄化槽人口1,093万人を下水道に繋ぎ込む必要のないものと認知すると、16兆円の建設費のムダを省くことができる。
 効率的な生活排水対策を進めていくためには、設置された合併浄化槽を国家の財産と認め、下水道と合併浄化槽が真に共生できる制度改正を図る必要があり、そのことによって、税金の無駄使いができなくなると確信する。
下水道と合併浄化槽が真に共生できる制度にするために、平成3年通知の法的根拠になっている別紙の法改正を要望する。
全国環整連は、国策である下水道事業の法改正を求めたことを強く認識する必要がある。私たちの責務は、維持管理は万全でなければならない。全国環整連は、設置者に分かり易い全国環整連維持管理システムを完全実施しなければならないのは必然である。 下水道法改正の真の目的は、合併浄化槽設置者の権利確保にある。

1 下水道法の改正(第10条第1項)

現行

改正案

第10条 公共下水道の供用が開始された場合においては、当該公共下水道の排水区域内の土地の所有者、使用者又は占有者は、遅滞なく、次の区分に従つて、その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管、排水渠その他の排水施設(以下「排水設備」という。)を設置しなければならない。ただし、特別の事情により公共下水道管理者の許可を受けた場合その他政令で定める場合においては、この限りでない。
(1〜3号略)


第10条 公共下水道の供用が開始された場合においては、当該公共下水道の排水区域内の土地の所有者、使用者又は占有者は、遅滞なく、次の区分に従つて、その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管、排水渠その他の排水施設(以下「排水設備」という。)を設置しなければならない。ただし、浄化槽により生活排水処理を実施している場合及び特別の事情により公共下水道管理者の許可を受けた場合その他政令で定める場合においては、この限りでない。
(1〜3号略)


2 建築基準法(第31条第1項)

現行

改正案

第31条 下水道法(昭和33年法律第79号)第2条第8号に規定する処理区域内においては、便所は、水洗便所(汚水管が下水道法第2条第3号に規定する公共下水道に連結されたものに限る。)以外の便所としてはならない。
2 便所から排出する汚物を下水道法第2条第6号に規定する終末処理場を有する公共下水道以外に放流しようとする場合においては、屎尿浄化槽(その構造が汚物処理性能(当該汚物を衛生上支障がないように処理するために屎尿浄化槽に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。
(削除)





2 便所から排出する汚物を下水道法第2条第6号に規定する終末処理場を有する公共下水道以外に放流しようとする場合においては、屎尿浄化槽(その構造が汚物処理性能(当該汚物を衛生上支障がないように処理するために屎尿浄化槽に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。

[理 由]
 現行の下水道事業の経営状況は、総じて厳しい状況にあることから、既存の合併浄化槽と共生することにより、結果として、下水道は合併浄化槽を避けてより密集地域に集約され、効率化される。